post 2012年10月7日日曜日 13:33

HbA1cの長期挙動

先日、内科に行ったところ、最近の「HbA1c」だけでなく「腎臓:アルブミン/Cre補正」も善い変化を示していると、お褒めのお言葉を頂戴した。

そこで、私がインシュリンを自己注射はじめてからの長期(5年弱)の「HbA1c」の経時変化と、投薬の変遷、患者の視点を纏めたグラフを作成したので図1に示します;

図1 HbA1cの経時変化


 色々と投薬とか食事意識などが変遷して来たが、「Byetta」は自分にとって
 相性の良い製剤であると実感する。また「バーンスタインの式」を用いた食事前の「糖質による血糖値の変動予測」をする事により、安心して食事を出来たのが凄いと思う。

これに加えて、食欲の抑制がもう少し出来るようになれば、経口薬(Amaryl, Nelbis)を止める可能性がでてくる。其の場合、「Victoza」の復帰により注射回数が低減できる可能性があるかもしれない。

今更ながら、こうして見ると、「Victoza」をほぼ6ヶ月、だまって使用を見守っていただけた牧田医師の胆力に感謝します。普通の内科医の方だったら、このような展開は絶対に許可してくれなかったとおもいます。さすがの私も、HbA1cが11%を超えた所で、「Victoza」中止を願い出て、インスリンに戻るしかないかと思いました。でも、即座に「Byetta」の手案を戴けました。結局、現在の体調が善いのは;
  •  Byetta
  •  Dr. Bernstein's Diabetes Solition
  • 牧田 善三 医師
の連携プレイの結果なのでしょうね。あと、牧田医師からご指摘を受けたのですが、この数ヶ月の間の著しい改善には、家族が「砂糖フリー:ラカンカ等」を全面的に導入してくれていることも大きい。家族への感謝を忘れずにと仰られたのが印象的でした。


話が変わって、牧田医師がHbA1cと並行して重用しする指標に「尿中アルブミン/クレアチニン比」があります。これについてはご著書「肉もお酒も楽しんで糖尿病が良くなる」でしったのですが、実際に計測を頻繁にしていただいて、その意味が判るようになりました。下記のサイトに判りやすい説明が在ったので引用します。;
  • 尿中アルブミン 
    • 尿中アルブミン/クレアチニン比 = [尿中アルブミン濃度] /  [尿中クレアチニン濃度]
なお、「尿中アルブミン/クレアチニン比」の表記は色々在って;
  1.  アルブミン指数
  2.  アルブミン/クレアチニン比
  3.  UACR : "urinary albumin-to-creatinine ratio"


この「尿中アルブミン/クレアチニン比」の経時変化を、「 HbA1c 」と同時にプロットしたのが図2です。

図2 『「尿中アルブミン/クレアチニン比: UACR」の対数』と「HbA1c」の時変化の同時プロット


少なくとも「2008-12-22」の段階ではUACR=111.2mg/g・creatinineだったものが、「2011-02-25」には3519.5mg/g・creatinineと、2年2ヶ月で3400mg/g・creatinineも急増した訳だ。ひょっとして、高インスリン血症の結果の一つとして、足のむくみ、炎症が起こったり、血糖値が良いのに健康感覚が無いといった状態になったのだろうと思う。でも、当時は血糖コントロールと腎臓パラメータの関係を理解できてなかった。

ところが、こうしてHbA1cとアルブミンを同時にプロットして見ると、素人目にも幾つかの推測が出来るようになってくるから不思議だ;
  1. インスリンをVictozaに替えただけで、 「UACR」は「約1000mg/g・creatinine」低下している。これは自己分泌のインスリン(効果低)とインスリン注射(効果高)との合計により、高インスリン血症が解除された為ではなかろうか。
    • 正確には腎臓の経口薬も数種類出ていたのだが、体感的には変化を感じられなかった。
    •  経口薬で効果を実感したのは、後で述べるAldactoneだけであった。
  2. ただ、 Victoza単独では、血糖値の制御が出来ずに、血糖の上昇による影響で「アルブミン/Cre補正」は徐々に悪化した。4ヶ月で「854 → 1290」、すなわち「約400mg/g・creatinine」も上昇した。
    • もし、経口薬(Amaryl, Nelbis)の併用が許されれば、状況は変わっただろうに。
  3. ところが、Byetta(10μg, 朝夕)に切り替え、経口薬(Amaryl 3mg 朝夕1tab, 。Nelbis 250mg 朝1tab, 昼2tab, 夕3tab)を併用すると、70日で「1290 → 673」、すなわち「約600mg/g・creatinine」も減少した。
    • 当時はHbA1cの減少率に気が取られ、
    • 「アルブミン/Cre補正」の減少率にあまり感激しなかった。
  4. さらに、2012-03-15より、降圧利尿剤である「Aldactone-A 50mg 朝夕1tab」を処方された。図にあるように面白いように低下して最新値、196mg/g・creatinineとなった。
    • この処方が出て1ヶ月目に、322mg/g・creatinineとなった時に、いつも沈着冷静な牧田医師が;
      • これでステージ4の段階からステージ3への復帰が可能になりそうだ。
      • 逆にいえば、『あなたの腎臓は「糖尿病性腎症」が原因でなく、他の要因、たとえば、造影剤などが原因だったのかも知れない』と興奮して仰って戴けました。
    • 最新の値、196mg/g・creatinineというのは、糖尿病性腎症のステージは余裕をもってステージ3( 19mg/g・creatinine以上、301mg/g・creatinine未満) に復帰したことを意味します。 
こうしてみると、自分の場合、不幸な状況の後に、その解決策に出会えるという幸運があったようだ;
  1. 糖尿病を 2001年に発症。糖尿病は解明済みの病気と思いこみ、近所の薮「糖尿病専門医」で訳の分からん治療を受け続けていた。
  2. 2007年の11月の暮れに、「左膝蓋骨・骨折」をして、内科でインスリン治療を開始し、
  3. 採血が異常に下手な病院から、採血の上手な病院に転院したものの、「薮・糖尿病専門医」に掛かっていて、極度のインスリン療法のために;
    1. 下腿部のむくみ
    2. 不健康感に苛まれて、
    3. 「高インスリン血症」の疑いをもった。
    4. そのころ、Victozaの販売開始の報告があり、その医師は自分の能力では処方できないと断言。
  4. で、インクレチンを処方できる内科を探索を開始し、
    • 「肉もお酒も楽しんで糖尿病が良くなる」の牧田医師を知る事になった。
    • そこで「Byetta」「Aldactone」に出会えた。 
    • 糖尿病だけでなく、糖尿病性腎症にもきめ細かな投薬を工夫いただいた。
      • それまでの「薮・糖尿病専門医」では血清アルブミン計測と一種類の投薬だけで、対策を聴いても「食塩を控えろ」だけでしたから...。
  5. 突如、肺炎になって、
    • Byettaが急激に作用しなくなった為に、
    • インスリン(ラピッド300, ランタス・ソロスター)に戻した。
    • これを10日程行ったので、「200-9-12の頃の血糖値の多点計測手法」 を思い出し、食後2hr, 1hr, 30minなどの計測をするようになった。
      • 食後2hrについては、簡単に血糖値が150mg/dl以下に収まるものの、
      • 食後1hrについては、血糖値が200mg/dlを超える事も多々あった。
      • まして、 食後30minでは悲惨なものであった。
      • あるとき、血糖値が暴発したときに、ふと30minほど自転車を漕いだ。なんと40mg/dLも減少した。条件が複雑だが、ある程度の暴発なら軽い運動でキャンセルできるのは心強い!
    • 以前、酒によって血糖値が低下するのを知って調べた「Dr. Burnstein's Diabets Solution」を見直した。この本はタイプ1の患者がメインと誤解していたが、タイプ2とタイプ1とは程度の差しかないことに気づき、自分の場合も「糖質制限」を定量的にする事の重要性を理解できた。
      • そこで、バーンスタインの式をまとめ、
        • 食事の前に、食材の含有糖質量をだし、バーンスタインの式で血糖値の変動量を予測するようにした。
        • これが思いのほか有効で、言うなれば「血糖値のフォーワード・制御」を手に入れる事ができた。。
        • この影の立役者は「iPhone」である;
          • 「食品標準成分」と言うアプリで主な食材の糖質量をブックマークしておく。もし新たな食材でも、検索してすぐわかる。
          • バーンスタインの式は、このサイトにも乗せてあるし、Numbersにも入れてある。
          • 従って、本やパソコンなしで、食卓上で 「血糖値のフォーワード・制御」ができるのだ。
      • これらの結果、少なくとも自分の場合、インクレチンを投与するようになってから、「c-ペプチドは3~5ng/mL」と出ているので、当然、食後の血糖値急上昇にインスチンの追加分泌が対応しているものと思っていたのが、間違いである事を実験的に理解できた。
      • 私の場合、タイプ2とはいえ、実際の運行上はタイプ1として考える方が良さそうである。すなわち主な糖質源である「めし、パン、ブドウ」などは意識して制限するということだ。当然、武器は 「血糖値のフォーワード・制御」である。
        • その結果、「肺炎」 の後で、HbA1c(JDS)=6.6%と改善した。
        • 「食欲の暴発」が喫緊の課題だ、何時まで経っても成長がないなぁ。
という遠回りをしたものの、「納得できる状態」にあるのは僥倖なのかもしれない。




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この記事の履歴
  1. 開始 2012-10-07  (日) 13:32 
  2. 追加 2012-10-07  (日) 20:34  「アルブミン/Cre補正」
  3. 追加 2012-10-08  (月) 13:26  「アルブミン/Cre補正」の解釈
  4. 修正 2012-10-09  (火) 10:11 :
  5. 修正 2012-10-11  (木) 11:36  「アルブミン/Cre補正」→ 「尿中アルブミン/クレアチニン比:UACR」